前田健太は尻上がりによくなる?
1.ブログ再出発
2ヵ月前ぐらいに就活に関するブログ記事を書いて以来、完全にこのブログを放置していました。理由は単純に「めんどくさいから」です。
しかし8月末に提出する修士論文の作業にそろそろ飽きてきたので、気休めにブログ活動復帰したいと思います。それで考えたのですが、ブログの内容は主に野球に関するものにしたいと思います。理由は特にありません。たまに私の研究分野である犯罪とかに関する記事も書くかもしれません。
2.前田健太は尻上がりによくなる?
今回はこの数字を出発点にしたいと思います。
これは前田健太が先発した5/23(たぶん)のLAドジャースとCOLロッキーズの試合中に紹介されたデータです。要するに前田健太が投げた時:
相手打者一巡目の被打率 0.314
相手打者二巡目の被打率 0.270
相手打者三巡目の被打率 0.132
って事です。普通なら三巡目の被打率が一番高いはずですが、この数字だけを見ると前田健太は終盤になればなるほど、光るピッチングをする投手って解釈が出来るかもしれません。
確かに今年の前田健太は良いピッチングをしています。イニング数は86回しかないですが、fWARは2.3稼いでいるので、今年は少ない量を質でカバーするピッチングをしていると思います(FIP xFIP SIERAは全て良好)。
しかし「0.132」だけの数字を見て「尻上がりの前田健太」とは言えないと思います。「尻上がり」そのものを否定するつもりはありません。しかし前田健太のケースを考えると、そう簡単に結論付けられないと思います。
3.選択バイアス
結論から言いますと前田健太のこの指標はかなり強いバイアスが掛かっているため、「尻上がりではない」と言うわけではなく「尻上がりかどうかのエビデンスが弱い」と言う事になるかと私は思います。
野球を知っている人なら分かると思いますが、相手打者が三巡目までに達する時の先発投手は大抵の場合:
①調子が良い
②調子悪いけど、中継ぎの疲労を考慮して続投させる
※上記の画像はオープン戦なので少し違いますね笑
これは完全に印象論なのですが、圧倒的に前者のケースの方が多いと思います。特に前田健太が所属するドジャースの監督デーブ・ロバーツはすぐに先発を降ろす傾向にあります。少し焦げ臭いと平気で4回ぐらい降ろしますので、相手打者が三巡目に入る前に降板するケースが多いかもしれません。ロバーツ・フィルターはかなり強いです。
なので前田健太の「0.132」の数字は:
① 調子が良い → 長いイニングを任される → 三巡目と対決する時は普段に比べ調子が良い → 調子の良さは被打率と負の相関関係にある
② 調子が悪い → 相手打者が三巡目に入る前に降板をする → サンプルがそもそも少ない?
という可能性があります。
4.結論
「打者三巡目以降の被打率」のサンプルは殆ど調子が良いときの登板に偏りがちです。なのでもっと正確な「打者三巡目以降の被打率」のデータが欲しいのであれば調子が悪い時の試合のサンプルが必要です。
正直「被打率」と言う指標は欠陥指標だと思います。ですが前田健太のように、ここまで顕著に下がっていると何かしら起きている可能性があります。その可能性の一つとして「実力」があるかもしれませんが、選択バイアスの可能性もあります。